2008年03月16日

【特報】大阪・りんくうシークル温泉開業不透明に−ワンディ・スパ経営難で

【おことわり】りんくうシークルの温泉「寿楽の湯」は2009年2月8日にグランドオープンします(→2009年9月末で閉店)。当ブログは更新を休止したため新規の記事を出稿する予定はありません。詳細は寿楽の湯の公式サイトhttp://jurakunoyu.com/をご覧ください。下記の記事の内容は古くなっています。
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 大阪・泉佐野市のりんくうプレジャータウン シークル内にできるはずの温泉施設は春に予定されていた開業が延期され、3月半ば現在開業のメドが立っていない。背景にあるのはシークルの温浴事業を請け負ったワンディ・スパ(札幌市)の経営危機だ。ワンディ・スパの中村惠一社長自らが2007年11月の段階で経営状況が厳しいことを認めているが、北海道の一部地域を除きワンデイ・スパの危機はほとんど知られていない。

 そういう意味ではこの記事は当ブログの独自ダネともいえる。(上の写真3枚はすべて乾物屋さんが2008年3月14日に現地で撮影して提供してくれたもので、右上は温浴施設が入るスペースの外観、左下はいまだに「2008年春オープン」と記載された館内の掲示)。

【27億円の誤算】

 北海道で2カ所のスーパー銭湯を運営しているワンディ・スパの親会社モーリスフランク・ジャパン(美容院チェーン経営)は2007年7月、中核の美容院事業を27億円でアデランスに譲渡する提案をメーンバンクのみずほ銀行から持ちかけられた。モーリスフランクは美容院事業を譲渡して温浴事業に専念することを決断。譲渡金収入を見込んで北海道三笠市と大阪りんくうタウンで温泉施設を建設する計画を進める。
  
 計画が狂ったのはそのわずか2カ月後の9月。みずほ銀とアデランスは態度を一変させ、営業譲渡型の民事再生手続きをモーリスフランクに迫った。

 営業譲渡型の民事再生手続きを実施した場合の譲渡額は8億円前後と見積もられている。モーリスフランクは経営危機はないとしてこれを拒否。契約を一方的に破棄されたうえ民事再生手続きを強要されたことで損害を被ったとして、みずほ銀とアデランスに約3億7000万円の損賠賠償を求める訴訟を10月4日に起こした。

 みずほ銀がモーリスフランクのデューディリジェンスをどの段階で実施したか不明で、わずか2カ月のうちに態度を変えた理由は明らかにされていない。

 ポイントは、この訴訟でたとえモーリスフランクが勝訴しても得られるのは最大約3億7000万円の損害賠償金だけで、当初見込みの27億円が転がり込んでくる可能性は無いことだ。この段階で27億円の収入を前提にした新規事業の継続は極めて厳しくなった。

【三笠市からの撤退】

 ワンディ・スパは北海道三笠市から誘致され、同市内岡山地区で「ワンディ・スパ三笠店」を建設することになっていた。温浴施設のほか5階建ての宿泊棟も建設するとされていた当初の計画は縮小を重ね、宿泊棟の建設は二期工事で実施することになった。それとともに開業時期も当初計画の2007年4月から次々と先送りされた。

 2007年6月25日にようやく始まった工事は、アデランスへのモーリスフランクの譲渡計画が白紙になったことにより秋の段階で中断。連帯保証人だったモーリスフランクは3億1500万円の違約金を業者に支払う羽目になった。

 建設地は三笠市の市有地で、工事期間中の借地料は月額5万1600円(開業後の2割の水準)と割安だった。それでも2007年11月の段階でワンディ・スパは約30万円全額を滞納。ワンディ・スパの中村惠一社長は11月22日付の北海道新聞に対し「当社が単独で運営していくのは(財政的に)困難な状態。(他社の協力など)ほかの運営方法も含めて検討している」と語るなど、この段階でワンディ・スパが経営難の状態にあることは鮮明になっていた。

 ワンディ・スパの三笠市からの撤退が報じられたのは2008年2月上旬のことだ。施工会社の桐山(静岡県富士川町)が温浴施設の経営を引き継ぐことになり、三笠市はワンデイ・スパへの市有地の賃貸契約を解除した上で新たに桐山と契約を締結。桐山はワンディ・スパが滞納していた約30万円の賃借料を肩代わりし、6月中旬の営業開始を目指して工事を再開している。

 温浴施設の名称は現段階では不明。当然ながら「ワンディ・スパ三笠店」にはならないだろう。集客数の見通しを下方修正したことで、入館料は当初計画の1.5倍に当たる大人1800円、子ども900円を想定しており、三笠市の関係者からは不満の声が上がっている。

【消えた“温浴施設”】

 りんくうプレジャータウンシークルの温泉は当初、兵庫県尼崎市で「つかしん湯の華廊」を経営するグンゼが請け負っていた。大阪府の環境審議会温泉部会の結果によると、2006年夏の審議会(審議会の答申=PDFファイル)で温泉掘削の申請がグンゼ開発から出され、これを許可する答申が出ている。しかし、何らかの理由でグンゼはシークルの温浴事業から撤退。その跡を継いで2007年夏(審議会の答申=PDFファイル)に温泉掘削を認められたのがワンディ・スパだった。ワンディ・スパにとっては本州初のプロジェクトだ。

 温泉掘削は無事に終わり、2008年2月の審議会ではワンディ・スパによる動力装置設置が申請され、これを許可する答申が出ている。この時点では三笠市からの撤退は決まっていたわけだが、三笠市よりもより大きな商圏で温浴施設をオープンさせ、経営していく余力がワンディ・スパにあるのか極めて疑わしいといわざるを得ない(シークルのデベロッパーである大和ハウス工業が債務保証をして資金調達し、事業を続ける可能性は残っているかもしれないが…)。

 3月中旬現在、シークル館内には依然として冒頭の写真のように「温浴施設4月開業」の掲示が残っているが、シークル公式サイトのフロアマップからは「2008年春オープン」だけでなく「温浴施設」という言葉そのものが削除されており、少なくとも公式サイト上では温浴施設が開業する気配は一切見当たらない。


↑削除前のフロアマップのページ。「温浴施設※2008年春オープン(温浴)」と読める。
↓削除後。温浴施設についての記載がきれいに削除されている。


 公式サイトから温浴施設の表記を削除した理由について3月14日、シークルに直接問い合わせたところ、「オープン時期が決まっていないため消しただけで、(温浴施設が)できることは確実」とのことだった。また、ワンディ・スパが事業から撤退して他の企業が温浴事業を引き継ぐ可能性についても尋ねてみた。特に否定の言葉はなく「そうしたことも含めて詳しいことが決まったらウェブ等で告知する」ということだ。今後の発表を見守りたい。

 この記事を書くにあたって複数の方に直接あるいは間接的にご協力いただきました。このブログと私を信頼して協力してくれた方々にこの場でお礼を述べさせていただきます。特に北海道と大阪の情報を結びつけるきっかけを作ってくれた方に深く感謝いたします。みなさまどうもありがとうございました。

【当記事を書くにあたって参考にした資料】
1)北海道新聞2007年6月26日朝刊地方
2)北海道新聞2007年10月5日付朝刊全道
3)北海道新聞2007年11月23日付朝刊地方
4)北海道新聞2008年2月6日付朝刊地方
5)北海道新聞2008年2月13日付朝刊地方
6)三笠市議会会議録
7)ウィキペディア北海道拓殖銀行(ソフィアの項目)
8)北海道のニュースサイトBNNの2006年4月24日付の記事「モーリスフランク・ジャパン」「ワンディ・スパ」「ビューティ・メイク専門学校」のソフィアグループ40周年
9)ブログ生活つれづれなるままにの2006年3月2日付の記事「旧拓銀 3 ルートの控訴審で元役員に 41 億円の賠償命令
10)西日本新聞2006年8月31日付「拓銀元頭取ら逆転有罪『融資は保身目的』 特別背任罪 3被告に実刑 札幌高裁判決」

1)から5)については道新の記事はネット上で公開されていない。ただ、2)については全道版で報じられたこともあり、全文転載している個人ブログが複数あるので、検索すれば比較的簡単に見つかるはず。7)以降はモーリスフランクの前身企業ソフィア(ソフィア中村といえばご存知の方も多いのでは?)がバブル期にリゾート経営に乗り出して失敗し、北海道拓殖銀行破たんの一因になった経緯についての資料。

【関連記事】
北海道・三笠天然温泉「太古の湯」6月中旬オープンへ(2008年4月18日)
大阪・泉佐野りんくうシークルの温泉、春の開業を断念(2008年3月1日)
大阪・りんくうタウンに24時間営業の温泉2008年春オープン(2007年11月7日)
この記事へのコメント
工事が遅れたなら急ぐのが常識
全然その気配なし。。。
そのわけが判ったよ
待ってたのに。。。orz
Posted by yappari at 2008年03月18日 13:30
そーだったんだ
そーだったんだ。
ずいぶん込み入った出来事があったんだ・・(^^;
でも、
もーすぐオープンって
決まってるんなら
ホッとしたなぁ(^_^)
完成まで楽しみに待つ事にしようっと♪♪
建物の感じが、
遠めから見たんだけど
いいーんだよねぇ(*^。^*)
木って
心にも体にもいいって
医学的に証明されてるし、
「桐山」って
静岡の・・・富士山があるとこの会社(^^;??
そいえば「富士山空港」も
出来るんだよねぇ!!
期待できるぞ〜〜〜・・・
勝手な思い込みだけど(^^ゞ
皆さん、
暖かいとこから
寒い土地に来て
がんばって働いてるんだ☆
出来上がるのを
ワクワクして
待ってまぁ〜〜す♪ヽ(∩。∩゛ヽ)
Posted by あーちゃん at 2008年03月18日 16:43
>yappariさん
 全然その気配がないというのは平日の昼間でもそういうことなのかご存知ですか?

 3月14日夜に現地にいらした(正確にはお願いして行ってもらったんですが…)乾物屋さんによると、資材・機材・工事車両はなくて、工事を継続している感じがないとのことでしたが、それが上記の記事内容によるものなのか、それとも夜間という理由なのかは確認できなかったので記事には入れませんでした。

 おまけに私がボーっとしていたため、せっかくシークルに直接電話したっていうのに、現時点で工事は継続されているのかどうかを確認し忘れてしまったのです。情けない…。

>あーちゃん
 私は「もーすぐオープンって決まってる」と書いたつもりは全然ありません。最初の段落に書いた通り、「オープンのメドは不明」です。

 老婆心までに申し上げますと、コメントを書き込んだパソコンがどの地域からネットに接続されているかは簡単に分かります…。
Posted by らくだ(編集人) at 2008年03月18日 21:28
安心しろ。毎日閉店休業だ。
Posted by 通りすがり at 2008年03月19日 08:57
はじめましても省略の
失礼を
お詫び申し上げます<(_ _)>
実家が現地なので
ウワサの真相を調べていて
こちらにたどり着きました。
うれしさのあまりの
思い込みのコメント、
重ね重ね
お詫び申し上げます。
Posted by あーちゃん at 2008年03月19日 09:47
>通りすがりさん
 シークルは営業しているけれど、温泉の工事は平日も実施されていないということですね。ありがとうございます。同じような内容のメールを数人の方からいただきました。

>みなさま
 この記事に関してメールを何通かいただきました。このようなことを書いて大丈夫なのかと心配してくださった方もいらっしゃいますが、この記事で書いたことは既に公になったことばかりです。

 たまたまごく限られた地域でのみ話題になり、事実が広く知られていなかったため、集めた情報をこのような形でまとめてみました。

 情報収集についてのお問い合わせもいただきました。北海道新聞の過去記事は北海道新聞が運営している有料データベースで検索できるはずです。その他の資料はリンクを張ってありますので、少なくとも私が上記の記事を書くのに利用したすべての材料を入手するのに手間はそれほどかかりません。ただ、三笠市議会の会議録にしても膨大な量がありますから、関連部分を探すのが大変でした。
Posted by らくだ(編集人) at 2008年03月19日 20:52
もうオープンされたのでしょうが、どんな感じなのでしょうか?

繁盛っぷりは如何なものでしょうか??

ひょっとすると来年北海道に赴任しなければならず・・・
良さそうなら行ってみようと思いますが。
その頃には閉鎖なんてこともありそうでしょうか??
Posted by もへじ at 2008年10月02日 16:33
もへじさんがお知りになりたいのは「りんくうシークル」の温泉ではなく、北海道三笠市の「太古の湯」についでですね? それでしたら以下のページをご覧ください。
http://onsen.xii.jp/article/15574474.html
Posted by らくだ(編集人) at 2008年10月02日 22:25
そうです。ありがとうございます。
とても参考になりました。

賛否両論のようですが、一貫して言えることは利用者数は少ないことのようですね。

となると、どんなにいい施設であれ、経営存続は難しいというところですかね・・・。

まあ、桐山?が第三者に更に売却するかもしれませんし、太古の湯自体が近日中に閉鎖する可能性は・・・低いのかしら。
誰にもわかりませんね・・・。

ありがとうございました。
Posted by もへじ at 2008年10月03日 10:50
 はじめまして、泉佐野市在住の者です。

 パート探し中、仕事情報誌で「りんくうタウン天然温泉   寿楽の湯」12月初旬新規オープン とありました。
  (シークル内との記載はありませんでしたが)
 やっとオープンのようです。
 
 すでにご存知だったら、ごめんなさい(;^_^)
Posted by まきチャン at 2008年10月28日 12:42
>まきチャン
そろそろ、という話は聞いていましたが、施設名は知りませんでした。どうもありがとうございます。
Posted by らくだ(編集人) at 2008年10月28日 21:47
明石大蔵海岸でスーパー銭湯をしている滋賀県の運営会社大栄開発が運営するらしい
Posted by じんじん at 2008年11月23日 17:03
明石大蔵海岸でスーパー銭湯をしている滋賀県の運営会社大栄開発が運営するらしい
Posted by じんじん at 2008年11月23日 17:05
某紙堺泉州版によると運営会社は大栄開発。1階ボーリング場・2階温泉施設と規模縮小して来年2月(だったっけ?)開業だそうな。
Posted by そわぁ at 2008年12月18日 02:36
>そわぁさん
来年3月になりそうだという噂を小耳に挟んでおります。なんだか遠い先の話のように感じられます。

この記事はたくさんの人に助けてもらって書いたので、自分としては感慨深いです。「某大手紙よりも1カ月も早くすっぱ抜いたんだからね」と自慢して回りました。(^^;

 あと、兵庫県の家族風呂をめぐる一連の記事も自分にとっては忘れがたいものになりました。
Posted by らくだ(編集人) at 2008年12月22日 00:13
ちょっと古い写真で申し訳ないのですが、先月関空に立ち寄った際の現場写真がありますので、参考にアップしておきました。
http://pht.so-net.ne.jp/photo/flog/albums/140082
Posted by 乾物屋 at 2008年12月24日 22:25
>乾物屋さん
拝見しました。ありがとうございます。春の18きっぷで関西遠征する際にはオープンしているかな? 一度は行ってみようと思います。
Posted by らくだ(編集人) at 2008年12月25日 22:15

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